*au*au*verb*

2017/11/12

(写真と本文は関係ありません)

バン と

車掌が扉を閉めた 瞬間

わたしの身体が なだれ打つ 音がする

とくに内部から外部へと

さらさら たらたら こぼれ出るものがある

堤防は思ったよりも弱かったのかしら

自分がしっかりしていないと

とたんに ただの液体に なるわ

車掌はいつも軽やかに 車掌の形をしていました

いいな、いいな、輪郭が、つよくて、

いいな、いいな、綺麗な、上着です、

車掌と触れ合うときはどんなとき

それは 非常事態のとき

みとめ・あう

みつめ・あう

しらせ・あう

近づき・あう

ふれ・あう

かわし・あう

もとめ・あう

そして 吸われる・・・・

ああ、だめだ、だめだ、なくなるわ、なくなる・・・・

乗客に能動性なんて もとより なかった

乗客はただ 車掌の大きくて白い手袋に くるまれるばかり

お客さん、吸います、と、車掌のアナウンスに、

乗客はただ 車掌のマイクの声色に 無力化されるばかり

車掌に抱かれるというのは 

車掌のなかに入るということ

あの制服のなす湿原の世界に はだしの足を踏み入れるということ

だめ 気持ちいい だめ だめ に なる でも 止められない

8両目の水たまり

9両目の浅瀬

10両目の大海原

お客さん もっと壊れなさい、もっともっと、柱を取りなさい・・・・

あおむけのまま じんとする

お客さん かんがえちゃいけません 判断してはいけません・・・・

ことばのしずくが 色をなくす

にくしみの矢がすべて自分に向かって自分をただの液体にするとき

窓の外には約束の星座が来る

失禁の湖に鳥が来る

失禁しているなんてことすらも 気づかぬような

おだやかな夜の岸辺に

優しく はこばれてゆく

ドアはまだ開かない